2016年6月3日金曜日

カテゴリ6ケーブル(cat.6)の自作を業者がお勧めしない理由

インフラ屋に「カテ6ケーブル自作は難しいか」と聞くと、間違いなく「難しい」という答えが返ってくる。
初めは「カテ5と同じ作りなのだから、作れないはずは無い」と思うだろうが、まあ、後悔することになる。
作れないわけでは無いが、作りたくない、という、なかなかやっかいなケーブルである。

何が難しいのかというと
・ケーブルが扱いにくい
とにかく固い。十字介在物がアルのに加えて、8本がよってあるので、固すぎてケーブルの取り回しが兎に角面倒である。

・作りがシビア
十字介在物は根っこで綺麗に切らないとRJ45コネクタに刺さってくれないし、撚りを綺麗に戻して、ジャストな長さで切らないと、
コネクタが刺さるのを拒否する。
カテゴリ5eなら、若干のずれは許容されたが、カテゴリ6はその「アソビ」が無い。

・リンクアップしない
語弊がある書き方だが、上記のようなシビアさがあり、きちんと施工しないと予定の速度でリンクアップしてくれない。
10Gネットワーク環境を作ろうとしてはまった所である。

・真面目に作ってある
エレコムのLANケーブルは、撚りが乱雑なことで有名(うーん)だが、カテゴリ6は全て綺麗に撚ってある。
ケーブルの太さも、各社ばらばらだが、cat.5eと比べてけして細くはない。
しかも十字介在物のせいで、配線が外皮よりになっているので、皮むき工具でCat.5eと同じようにやると、即傷が付く。

・色んな所で力まざるを得ない
何故か、cカテ5よりもカテ6の方が力がいる。ケーブルが固い、撚りをほどく際に指先を使う等、結構力が要る。

・高い
無駄に部材が高いので(コネクタ一個50円~100円とか)、カテ5のように、失敗したら切ればいいや、なんて言えない。
かしめるので、一期一会になる。失敗したら100円玉が消えていく。

これを見た後でも、どうしても作りたいならば、以下のtipsが役に立つかもしれない。


■カテゴリー5で慣れる
基本的に、カテゴリー6以上のカテゴリケーブルは、カテゴリ5のケーブルを余裕で作れる人にしか勧めない。
要領は同じで、条件がシビアになっているというだけである。

■工具は良い工具を使う
基本的に、カテゴリー5を作るときの工具で良い。
が、かしめ工具はラチェット式の方が良い。
カテ5の感覚でかしめると、不良で速度が出ないことがある。
僕はHT-210Cを常用しているが、これにはラチェットが付いていないのでお勧めしない。
因みにサンワサプライも販売しているが、元々台湾の会社だったはずで、色んな会社が売っている。
慣れればこれでも出来なくは無いが・・・腱鞘炎に注意すること。

■ケーブルストリッパーは使わない
上記のように、外皮に対してぱんぱんになっているモノが多いので、ケーブルストリッパーだと内部配線に傷を付けてしまうことが多い。
ニッパーで被覆をはがせるようになった方が良い。
お勧めはフジ矢の電工名人強力ニッパ(VA線が切れるやつ)。
http://www.fujiya-kk.com/ja/products/194/

1つあれば、ずっと使えるだろう。
また、こいつも結構切れるタイプなので、ある程度切れ込みが入ったら、力任せに引っこ抜くというのをお勧めしたい。
これなら傷が入る可能性を最小限に抑えられる。

■テスト用のPCやハブを用意する
安いケーブルチェッカーでは、速度が出ているかどうか確認出来ない。
必ず用意しておいた方が良い。敷設後に速度が出ないとか、最悪である。

■逆相巻きはマスターすること
ケーブルが固いが、撚り線なので、癖が付くと敷設がすごく面倒になる。
出来れば、箱から出した際に、一度逆相巻きして綺麗な癖付け(もしくは癖取り)をした方が良い。
また、ケーブル折れに関しても結構シビアなので(折れたら10Gでリンクアップしなくなったり)、これは押さえておきたい。

■手袋を付けて作業する
これが一番かもしれない。
やってて分かってくるが、上記のように、以外に力が要る。
そこで、滑り止め付きの手袋をお勧めする。
これがあれば、以下のことが楽に出来て、腱鞘炎になり辛いだろう。
おすすめは、ユニワールドが代理店している「ワンダーグリップ」シリーズ。
http://www.wondergrip.net/
おすすめはWG1850か、WG1837。
指先が使えるので非常に使いやすい。
但し、耐久性はさほど無いので、破れたら(ニトリルゴムが取れだしたら)買い換えを考えよう。
安いのでそんなに躊躇せず買える。一双で250~350円位。

■一日○本までと決める
一日20本作ると、1週間で全治2ヶ月の腱鞘炎(らしきもの)になる。
僕は指の第二関節と第三関節、手首が恐ろしいことになり、整形外科に通うことになった。
経験則から、一日10本が限度くらいにしておいた方が良い。
10本でも多いか・・・。
カテ5ならこんな事は無かったが、6はやけに力が要る。
甘く見ていると手痛いしっぺ返しを食らう。

■被覆の長さや、ケーブル切断に注意する
配線を何センチ残すか、ケーブルは線に対して垂直に切れているかが非常に重要になる。
外皮を剥くときは、5センチ以上出して、3~3.5cm最後に切るのが正しい。
また、外皮の伸縮も考慮しながら「うまくやる」しかない。

兎に角遊びが無いので、カテゴリ5で慣れていないと、散財することになる。