何でヘルメットを被らないのか不思議でならない。
A君は本当に納得いっていないのか、後輩にそう愚痴り始めた。
どうやら彼が見ているスケボーが主題のアニメの練習風景で、練習時にヘルメットを被っていないのが納得いかないようである。
恐らく番組内で危険なシーンがあったのだろう。
「あれを見てスケボーやりたいと思う奴なんかいない」
そう宣った。
そういう見方をすればそうなのだろう。アスファルト上で車輪の付いた板を駆使して競う競技である。全く危なくないわけでは無い。
ただ、アニメはフィクションである。注意喚起を目的とした公共映像ではない。
また、自らを省みてみよう。自転車に乗る際、ヘルメットを被る者はどの程度居るのだろうか。バイクに乗る際プロテクターをどの程度付けるのか。危険度が違うと言うかも知れないが、果たしてそこが論点なのだろうか。
現実にもっと目を向けよう。ストリートでスケボーを嗜む諸氏がヘルメットを被っているだろうか。
答えは否である。
何故か?
格好悪いからである。
私はそのアニメを見ていないので何ともだが、どうせスケボーを通じた友情やらライバルとの戦いやらを交えた成長物語みたいな見せ方をしたいはずである。そこにヘルメットやプロテクター等の「野暮な」描写を入れる必要は無い。ストリートなら(現実に即している分)尚更だろう。そもそもフィクションである。格好良く見せてなんぼ。鍔迫り合いで火花を出しまくる刀しか無かったり、アスファルトとタイヤの接地面はいつも砂まみれだったりするのと同じである。
勿論競技でやっている者も居るし、そういった諸氏が安全面での準備を怠らない事も知っているが、それとこれとは話が別なのである(サーキットでバトルのと首都高でバトルのを同列で語らないのと同じである)。
多分、そこが分かっていないから、A君は一生モテないんだろうなあ、と思ったりする。
流石に自分の考えを押しつけられないということは分かっているようで、同意を求めようとはしていなかったが、口に出した時点で残念きわまりないことに変わりは無い。
残念である。
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